「什器」ってなんですか?

「店舗の売り場提案から、什器のデザインや設計もやってました!」

前職で何の仕事をしていたんですか?と聞かれることがあるのですが、
上記の用に答えても、結構な確率で「什器って何?」と聞かれることがあるんですよね。

店舗や展示系の仕事に携わったことがある方ならご存知だと思うのですが、私自身この業界に携わるまで什器なんて知りませんでした(よくそんなんで什器の会社に合格できたな。。。という感じですが)

一般的にはちょっとニッチな世界なのですが、関わってみるとこれがまた結構面白いのです。
今回はそんな什器世界の魅力を共有したく、まずご紹介という形で記事を書いてみました。
少しでもご興味がある方は、拙い文章ですが是非ご一読していただければ幸いです。

では以下の順番でご紹介を。

【CONTENTS】
● 「什器」って何?
● 「商品の魅力を如何に引き立たせるか」に命を懸ける
● デザインには全て意味がある
● まとめ - 商品が主役なら什器は影の主役です。面白いよ!

「什器」って何?

「什器」とは、店舗で使われる家具や備品だと思っていただければ大丈夫です。
特定の商品を陳列・展示する棚や台、入れ物等に対して使われることが多いです。

コンビニでパンを陳列する棚を「パン什器」や「ベーカリー什器」と言ったり、
スーパーの野菜・果物を並べる台を「青果什器」と言ったり。
アパレルショップの業務だとまとめて「アパレル什器」と呼んだりもしていました。

広義的には日用品や家具全般を指すみたいですが、現在その意味ではあまり普及しておりません。
※引用:Yahoo辞書様より
>じゅう‐き【什器】
>日常使用する器具・家具類。什物(じゅうぶつ)。什具。

他にもオフィス系の家具を「オフィス什器」と呼んだりしていますが、
私の周りだと「オフィス家具」と呼んでいる人が多かったです。

ですが店舗用の物として使われている物で「家具」を付けて呼ばれているのはあまり無かったです。

これは個人的な想像ですが、「家具」と言うといわゆるテーブルであったり、棚らしい棚(扉があって段があって木で作られていて〜等)を連想される方が多いんだと思います。
オフィス用品だと打ち合わせ用のテーブルや事務用品の机など、一般家庭用の家具と形や用途にそんなに差がありませんよね。

ですが店舗の商品陳列用だと違ってきます。
耐荷重を持たせるため金属でガチガチに製作されていたり、天井まで伸びた棚、化粧品売り場の商品をかっこよく並べるアクリル製のディスプレイ台等、一般用の家具とは少々イメージが異なります。

家具っていうと文字通り家で使う物ってイメージだし、器具っていうには大きいものいっぱいあるし。。。。
そんなこんなで「什器」って言葉が残ってきたのではないかと思います。

「商品の魅力を如何に引き立たせるか」に命を懸ける

什器のデザインって常にそれとの戦いなんですよね。
什器業界のデザインやり立てにありがちな失敗なのですが、家具単体として見てしまうんです。

「よっしゃ〜かっこ良くて使いやすい棚をデザインするぞ〜」
そして提出すると「こんなん汎用性がないし高いしコンセプトもほにゃらら。けどそもそも商品より目立ってどうする!」と言われます。

私がダメダメだっただけかもですが、よく怒られましたね〜。
内装デザインレベルまでセンスが求められる什器でも、まず第一は商品を引き立たせる。
それを踏まえた上で什器のデザインはどうするか。
いくら商品が目立っても使いづらかったり、空間デザインとチグハグだったりしたら、それはそれでダサいですからね。

よくあるじゃないですか。
高級なお店だと、シンプルで四角い真っ白な台が綺麗に並べられていて、
そこに商品が乗ってるディスプレイとか。
「オッシャレな空間〜!」って目線でよく見てしまいがちですが、白等の単色は商品を引き立たせるためだし、情報量も少なく商品以外の情報をシャットダウンします。
統一感がでて清潔感もありますしね。
カッコイイ空間やプロダクトを作っているように見えて、
その全てはまず商品を素晴らしくみせるという最低条件とデザインを両立させる戦いです。

その戦いがとても面白いのです。

デザインには全て意味がある

デザインに携わると必ず耳にする言葉ですよね。
まさにその通りで、先ほどの「商品を引き立たせる」もそうですが、必ず目的(=意味)があります。

什器業界ってこれを学び体感するのにすごい良い世界だと思うんですよね。

分野にもよりますが、特注什器のデザイン・設計ってすごいサイクルが早いです。
建築や内装だと長いスパンで行われますが、現場を見ていた印象だとそれでもカツカツな印象でした。

よく「話題の○○が出店ラッシュ!」みたいな記事を見ますが、それと同時に建築や内装、それにまつわる什器や備品の選定、店内のPOPや商品のチラシ等のグラフィックデザイン。
それら全てがラッシュで行われます。
特に什器って内装の位置関係や売り場のゾーニング(空間の配置)が決まってきてから仕事がくるので、出店間近なことが多いです。

売り場全体のデザイン提案なら3ヶ月〜などありましたが、什器単体だと依頼がきてから「デザイン→設計→発注→納品」まで3~5週間なんてのがザラでした。
時には1~2週間なんてことも。。。。1m〜2mの家具を複数台、1週間で作るのと同じですからね。
私たちはまだ良いですが製作業者様には頭があがりません。。。
(ミスのもとになるしデザインも詰めきれないことがあるので、私自身はこの納期は推奨しません。また業界毎にサイクルも違うと思うので、参考程度にお読みください)

ただそういう業界なので、スピード感は非常に磨かれます。
比較的短納期でコストにもうるさいので、デザインには強い説得力が必要です。

「なぜなら〜〜だから」というのはもちろんのこと、人がよく触れるものなので怪我をしない材質や加工の選定。
それを一瞬でどんどん決めていかなければなりません。
かといって後で見直すと「もっとこうしたほうが良いなぁ」なんてことがあるので、気づいたらすぐ直します。

当然設計も最初はド素人なので色々勉強します。
木、プラスチック、金属などなど。業者様がどういう加工手順で作るから、こういうデザインが出来る。そういったことがどんどん経験できます。
グラフィックもそうです。遠くからでも分かる視認性、商品の宣伝、配色など様々。
数も多いので多くの印刷会社様との連携。
そして仕様決定後、すぐ納品されて実物で確認できます。

「商品を引き立たせる」以外にもこれだけの要素を瞬時に決めていかなければならないのです。
納期が少ない業界といっても、お客様はそんなの知ったこっちゃありません。
受けたからにはベストを尽くしてやらないと満足してもらえませんしね。
後で後悔し反省することも多々ありましたが、その都度最適なものを取捨選択していくことは、デザイナーにとってすごく貴重な経験だったと思います。

まとめ – 商品が主役なら什器は影の主役です。面白いよ!

商品を陳列するツールなので商品が主役です。
ですがそれを並べる什器はいわば影の主役。
チームで例えるならトップを支える副キャプテン。敏腕秘書。
頼れる屋台骨がいるからこそ、主役は不安なくイキイキと出来るものです。

意味や用途がはっきりしているからこそ、難しくもあり、面白いのです。
様々な条件があるので、既存のデザインや使い勝手から脱却するのは中々に難しいですが、
それを突破した時の達成感は高いです。

「いいですね〜。商品が引き立つしオシャレ。それにとっても使いやすいですよ」
お客様にこう言っていただけることはクリエイターの醍醐味ですね。
製作回転も早いので、凄腕の人は納品の度に輝けます(笑)
私もそうありたいものです。

ただそれでも認知されにくいので、今後もっと広まって欲しいですよね。
そして一緒に什器あるあるを語りたいです。
「什器」って言葉が堅苦しいのかな?
ストアファニチャーとか、ディスプレイツールとか、オシャレ呼びだともっと広まったり?

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