以前書かせていただいた記事でそもそも什器って何?という内容を投稿しました。
▶【「什器」ってなんですか?】
今回はそんな什器業界にいるとよく耳にする用語について一定数まとめてみました。
業界に入ったばかりのころは事前に調べても調べても、職人さんや営業の方と話すたびに聞いたことのない単語が出てきて、その都度調べたものでした。
「ゴンドラのエンド什器が〜」
「これはベロだして固定しよう」
「SKU」
「バカ穴あけて〜」
???となり話についていけてなかった新人時代を思い出します。。。。
なので事前に知っているだけでそれだけでも強みになりますよね!
什器だけでなく内装や広い業界で使われる共通用語・設計用語などもあるため、商空間を目指す学生さんや他の方々の参考になれば幸いです。
今回は私個人がよく耳にした下記用語をご紹介したいと思います。
【CONTENTS】 ● 空間/売り場系 ・ゴンドラ ・島 ・エンド ・柱巻き ・リイチン ・オリコン ・SKU ・フェイス ・POP ・グロッサリー ・イートイン ・サッカー ・動線、導線 ・回遊性 ・ゴールデンゾーン ・バックヤード ● 什器/設計系 ・パース、ポンチ絵、漫画絵 ・ベロ ・インロー ・ケンドン ・ネジを「もむ」 ・バカ穴 ・ブラケット ・ガチャ柱、スリッド ・欄干 ・ダボ ・サス ・メラミン、ポリ、化粧合板 ・木口(小口) ・面取り ・腰 ・蹴込み(けこみ) ・見附 ・巾木 ・りゃんめん ・サッシ ● まとめ:呼びやすいけど覚えるの大変ですよね
※スーパーマーケットの什器経験が長いため偏りがあります。
あらかじめご了承ください。
空間/売り場系
【ゴンドラ】
売り場の陳列棚を指します。特に金属製のシンプルな什器を指すことが多いです。
木工造作の什器は木什器と呼ぶことが多かったですね。
下記画像の左右にある金属の棚付き什器なんかまさにそうですね。

【島】
空間内で独立している売り場や什器のことです。中島、島什器と呼んだりもしますね。
(壁側にある什器は壁面什器と呼んだりします)
下記画像の壁に設置してある什器は壁面什器、それ以外の空間に独立している什器が島什器ですね。
360度まわれる「島」としての売り場なのでこう呼ばれています。

【エンド】
ゴンドラや島什器の先端(終わり)の部分です。
特にスーパーのゴンドラエンド部分では売れ筋(もしくは売りたい)商品を豪華に陳列する定番の箇所です。
目立つ場所であり、通路やレジ側と隣接しているのもあって気合いを入れて宣伝する箇所です。
季節商品もこちらに並べることが多いです。


【柱巻き】
文字通り柱に対して四方を什器で囲んでいる状態です。柱巻き什器と呼んだりもします。
柱は建物の構造上必要不可欠なものですが、売り場の死角になってしまいます。
なので柱を四方売り場にしてあえてシンボルにしたり、柱の一部に棚板などを取り付けて有効活用したりします。
【リイチン】
リーチインの略で、リーチインケースとして用いられる言葉です。
正面に戸がついた冷蔵・冷凍ケースで腕を伸ばして商品を取るタイプのものです。
コンビニなどのペットボトル飲料が陳列されているケースが代表格でしょうか。
【オリコン】
折りたたみコンテナの略です。決して音楽のオリコンではありません。
ビール瓶入れのようなものを想像してもらえるとわかりやすいです。
商品を大量に詰め込み移動させる箱状の入れ物で、使わない時は前後左右4方の壁を折りたたんでコンパクトに出来ます。
【SKU】
Stock Keeping Unit の略で、エスケーユーと呼びます。
商品の数(種類)になります。こちらは同時にアイテム数も覚えなくてはなりません。
例えば同じ柄のTシャツが、S/M/Lサイズの三種類売られてるとします。
これは同じ柄のTシャツを「1アイテム」と数え、サイズが三種類あるので「3SKU」
つまり「1アイテムの3SKU」という単位で数えることが出来ます。
【フェイス】
商品の顔(表面)のことです。
「フェイス直して〜」という時は、お客様が一度手にとった商品を戻された時、裏側を正面にしてしまうことがあります。それを表(フェイス)に直す作業です。
【POP】
店内で使われる商品広告のことで「Point of purchase advertising」を頭文字で略した表記で、ポップと呼びます。
スーパーの商品の上にクリップで挟まれた「大特価!〜円」と書いてある紙や、
本屋の一押しの本に、店員さんの手書きのイラストで書かれた広告など、全てPOPと呼びます。
下記画像の「5%引き」の広告もPOPの例です。

【グロッサリー】
スーパーでよく聞くグロッサリー部門(コーナー)。こちらは生鮮食品以外の商品のことです。
加工食品、雑貨、日用品など生活用品の総称になります。
レトルトなど加工された食品はグロッサリーに入ります。
【イートイン】
購入したものを飲食可能なスペースのことです。イートインスペースを呼んだりもします。
休憩箇所としても使用できるため、大型店舗などでは顧客長期待機効果を狙っての設置もあります。
【サッカー】
サッカー担当、サッカー台という言葉をよく耳にします。
サッカー担当とはお客様がご購入された商品を袋詰めする係の人です。
またお客様自身が商品を購入されたあと、移動して袋に詰める作業を行う専用の台のことをサッカー台といいます。スーパー等ではレジの後みなさんサッカー台に行かれますよね。
【動線、導線】
人(お客様)がどのように店内を動き、購買意欲を高めるかを計画した線のことです。
この線をもとに売り場の区画を配置していく必要があります。
(動線、導線で本来は結果と予測として意味が違うみたいですが、業界毎で使い分けられていたり、意味が混同されている場合があります)
【回遊性】
回遊とはお客様が店内を歩き回ることを言います。
それに準じて、お客様が商品に興味を持ちその区画をくまなく歩き回るように、すなわち購買意欲を持っていただけるように売り場の価値を高めようと最適化します。
「回遊性が高い」と用いられる時は、その区画において什器や商品の陳列、売り場のデザインが隅々まで歩いていただけるように優れていることを指します。
島什器でイベント用催事コーナーとして用いられている場合、360度グルっと宣伝がされていたり、これみよがしに大量に陳列して目立たせたりなど分かりやすいと思います。
【ゴールデンゾーン】
陳列箇所において、お客様(平均身長)でも商品が手に取りやすく、目に入りやすい、いわゆる万人向けの陳列高さを指します。
(男性で床上70~160cm、女性で床上60~150cmとされています)
ここに売りたい商品を並べる事が多いです。
【バックヤード】
従業員が使用するスペース。お客様が立ち入れない場所。
商品の保管場所など。
什器/設計系
【パース、ポンチ絵、漫画絵】
パースは3Dイメージのことです。建築やインテリアでも「建築パース、インテリアパース」と呼ばれたりしていますね。
什器系ではポンチ絵は落書きレベルでいいので、メモや什器の外観などを表す絵になります。
漫画絵は人にもよると思うのですが、自分の周りだと上記パースのことだったり、アイソメ図を指したりしていました。
【ベロ】
何かを固定したり引っ掛けたりするために、パーツを突き出すように設計・設置することです。
下記画像のようにネジ留め用の穴が空いた板金を突き出すことが多いです。
こうすれば鉄パイプの内側に、例えば木の板等を裏からベロを通じてネジで取付ることが可能ですよね。
その姿が舌をベーと突き出している、ベロに見えることからこう呼ばれたりしています。

【インロー】
凹凸を組み合わせる(インさせる、差し込む)ことを言います。
例えば中空のパイプに内部より小さい別のパイプを差し込んで、パイプ同士をつなげたりする時にも用います。
何か突起があるものに、別のパーツにくぼみや溝を付けて差し込むこともインローと呼んだりします。
【ケンドン】
ネジなどを用いず、上下に凹みがある部分に別の部材をはめこむ仕組みです。
ラーメンの出前用の入れ箱(岡持ち)の蓋や、和室のふすまなどが典型的な例でしょうか。
扉を外したり再度取り付ける時に、扉を斜めに持ち上げて差し込んだりしますよね。
別の部品を使わなくても、差し込むだけで溝に嵌り取り付けることができます。
この仕組みをケンドン呼びます。
【ネジを「もむ」】
ネジを打つこと、締めることを「もむ」「もみこむ」と言ったりします。
独特な言い方ですが難しく捉えなくて大丈夫です。ネジで留めると同じです。
【バカ穴】
ネジが効かない、ネジを通すためだけの穴のことです。
上記のベロ画像も同じで、ネジより大きい穴を開けてネジを通すためだけに使います。
固定する部材にナットが埋め込んであったりすれば、ベロにネジが効くような加工は入りません。
その時にバカ穴を用います。
【ブラケット】
棚受けの金物のことです。下記画像に棚を支えている金属パーツがありますよね。
これをブラケットと呼びます。

【ガチャ柱、スリッド】
ブラケットを差し込む用の溝が複数ついた柱状の金物です(下記画像参照)
ガチャ柱対応のブラケットを使用することで、棚の高さを自由に調節できます。
基本的に溝が25mmピッチで連続しているものが多いため、高さも25mmずつ変更可能なのが一般的です。

【欄干】
ガチャ柱の画像にもある、棚の天板部分の正面(先端)についている金属の手すりのような部分を言います。
これは商品が落ちてこないようにしたり、値札を取り付けるために用いられます。
欄干とは元々橋の手すり部分のことを指しますが、それに似ていることからそう呼ばれています。
少しでも商品より目立たなくしたい、取り外し可能にしたい等からこのような線材を用いた形状になったと思われます。
【ダボ】
什器では棚ダボのことを指します。
一般的な家具でも使用されていて、棚の側板に一定間隔で穴が空いていて(ダボ穴という)、そこに金属で出来た円筒上の部品(棚ダボ)を刺しこんで、棚板を支えるものです。
ようするにダボ穴はガチャ柱の役割、棚ダボはブラケットの役割をしています。
【サス】
ステンレスのことです。JIS規格(日本工業規格)で材料記号はSUSと表記します。
図面では材質指定する時にSUSと表記するので、それをサスと呼んでいます。
【メラミン、ポリ、化粧合板】
●メラミン化粧板 → メラミン樹脂などを浸透させた印刷紙・クラフト紙などを何枚も積層し高圧圧縮させたもの。プラスチックの板だと思ってもらえればいいです。
●ポリ化粧板 → 印刷紙と合板を組み合わせたものにポリエステル樹脂を塗布したもの。ポリエステル樹脂が塗ってある薄いベニヤ板のようなものだと思ってもらえれば大丈夫です。
上記2つの化粧板は印刷紙で独自の木目などを表現しており、それを市販の合板などに貼り付けて強度や厚みをもたせることが出来ます。
●化粧板と合板を組み合わせたものを化粧合板といいます。
※メラミン化粧板の方がポリより丈夫で高価です。そのため傷が付きやすく汚れやすい天板のみをメラミンにし、他は同柄のポリ合板にすることもあります。メーカーによって流通している柄が異なります。
【木口(小口)】
こぐちと呼びます。板の断面や垂直な面(縁、端面)のことですね。天板の小口にステンレスを貼って〜などよく使ってました。
【面取り】
怪我をしないように角を削ったりすることです。
特に天板の4隅は必須条件です。子供の顔の高さに近いことが多く、走ってぶつかれば大怪我です。
角を45度でカットすることをC面取りと呼んだりもします。
【腰】
什器では天板より下のベース部分のことを言います。
建築でも窓より下に壁一面に貼ってある板を腰板とよんだりしますね。
【蹴込み(けこみ)】
天板より凹んだ腰までの距離をいいます。凹んでないものはツラと呼んだりします。
階段の段差ごとの凹みもそう呼ぶそうです。
これは歩いたり前かがみになったりした時に、腰部分に脚がぶつからないように凹ませることで干渉しないようにする役割を持ちます。
【見附】
みつけと呼びます。板などの材料の正面部分を言います。建築用語ですが、什器だと天板の小口も正面なので、見附と呼んだりしています。
【巾木】
はばきと呼びます。家などで壁の下に横長に貼っている木がありますよね。あれを巾木と言います。
本来は壁と床の隙間を埋めるために使われますが、デザイン性として利用されることもあります。
什器においてもデザイン的に巾木を付けることがあります。
【りゃんめん】
両面テープのことです。個人的にいつまでも慣れなかった単語です。
りゃんめんとずっと使っている人もいれば、りょうめんと言い続けている人もいたので。
世間的には両面テープの方が通じますよね。
【サッシ】
サッシュとも言い、金属製の窓枠のことです。
什器だと壁面に設置する時によく「ここにサッシがくるから避ける高さで〜」などの制約がよくありました。
まとめ:呼びやすいけど覚えるの大変ですよね
いかがでしたでしょうか。
もっと色々あるのですが、よく使っていた単語を列挙したつもりです。
(大分噛み砕いたりしているものもあります)
独特な用語は覚えてしまえば短い単語でコミュニケーションができるので便利ですが、
いかんせんそれが業界が専門的にみえすぎる要因にもなっている気がします。
覚える必要があるため参入コストが結構かかるんですよね。
かといって呼びやすいという意味では合理的でもある。。。難しいところです。
「ベロ」なんて言われてみれば「あ〜!」と思うけど、経験がないと絶対「ん?」ってなる単語です。
根気よく覚えてくしかないですね。。。
ですが単語が理解できるようになると、職人さんや業界の人と話しが弾むようになるので、楽しくなります(笑)
なので興味あるかたは頑張って覚えてみてください。
以上になります。
また別の機会に第二弾もあげたいと思います。
有難うございました!