デザイン決定後の図面作成【什器・家具編】

こんにちは!
今回は「什器や家具のデザイン案件の時、仕様決定後に業者様へ発注する用の図面」を仮のモデルを用いてご紹介したいと思います。

デザイン業務から発注まで、どういうことをしているのか。
いまいち認知されていないのではないかと感じまして。。。
デザイン以外の裏方業務的なものを紹介してみようかなと。

こちらは一例ですが、どのくらいの手間暇で出来るかの目安になればと思います。
よろしくお願い致します。

※こちらはあくまで一例です。こと設計・作図方法に関しては色々な方の見識がありますし、私のようにデザインと兼業している人より、設計一筋の方のほうが当然お詳しいです。
なので参考として見ていただければと思います。

【CONTENTS】
● 3Dパースと意匠図
● 組立図と部品図
● ここまでの作業時間
● 必ずしも詳細な図面が必要な訳ではない
● まとめ:これらの労力込みで料金設定されています

3Dパースと意匠図

仮に以下のような壁面什器を3DCGで提案したとします。
(業界では3DCGを”パース”と呼んでいますので以後パースとします)

パースだけでは細かい寸法が伝わらないので外形図(三面図)を用意します。

これだけでも良いのですが、
パースと同じように柄が反映されているとお客様がよりイメージしやすいので、
PDFをAdobe Illustratorで開いて柄や色を足します。
(CADソフトによっては色付けが簡単に出来るものもありますのでイラレが不要な場合もあります)

よりイメージしやすくなったのではないでしょうか。
こちらのように外観がイメージしやすく仕様がわかる最低限の寸法や記述があるものを意匠図と呼んだりもしています。

さて、こちらのパースと外形図でOKを貰えたと仮定します。

それでは業者様に発注用の細かい図面を作図しましょう。
作図は作図で結構時間がかかるんです。。。

組立図と部品図

この什器を完成形にするために、
どの部品がいくらあってどのように組み立てればよいのか。
それらを記載した図面を組立図といいます。

バルーン(丸にかこまれた番号)と図面右の表がリンクしています。
これにより何番の部品がいくら必要か把握できます。

人により作図の仕方が違います。
アイソメ図(遠近がかかっていない平行な線で120度の角度で作図された斜視図)で作図してありますが、外形図と同じように三面図にバルーンを振ってある図もあります。
使い分けは自由です。
今回は外形図で組立後の完成形が分かるようになっているので、アイソメ図だけで表現してあります。

この図面では右の表に”別紙参照”と記述してあるものがいくつかありますが、
これらは「この部品には詳細な製作図面がありますよ」というサインです。

アジャスターのように世の中に既に売っているものは、
メーカーの品番を指示すれば購入できますが、部品自体が特注の場合は図面を分けて描きます。

特にスチール部品・木工部品など、これらの物は大掛かりになったり細かいものになるほど分けて書いたほうがいいです。
というのもお願いした業者様も、板金なら板金屋さん。
木工なら木工屋さんに図面を投げるからです。

それでは以下に何枚か載せていきます。

これらはスチールメインの部品図面になります。

他にも設計の仕方はたくさんありますが、今回は一例としてご参照ください。

分かりやすいように上記の図面には溶接記号(溶接の指示を記号化したもの)を記しておりません。
溶接記号がある方が乱雑にならずにすみますが、この記事を見て頂ける方には知らない人もいらっしゃるでしょう。

また、お願いする工場によっては「この溶接指示よりこっちのほうがよい!」と提案していただける方もいたりするので、量産品のように全て一定の仕様で製作するなどの制約が無ければ、言葉で記したほうが分かりやすい場合もあります。

次は木工系の部品図面です。

収納カートのように取手のスチール図も記述する場合もあります。

収納カートのこの位置に取り付ける、ということを分かりやすくする為に一緒にしています。
発注先によっては金属ならこの工場、木工ならこの工場と使い分けされている業者様もいらっしゃるので、そういう所に発注する場合はこの描き方でも製作可能です。

直に木工所に図面を投げる場合は別々にしたほうが良いでしょう。

ここまでの作業時間

仕様決定から組立図→部品図の作図まで。
人にもよりますが丸一日ぐらいかかる時もあります。。。

私の場合CGで細かい設計をして、それをもとに図面を作図していきます。
ですがそこは人間。
作図しながら「もっとこうしたほうがいい」というのは常に見つかります。
(下画像はCGでの設計画面)

試行錯誤で行ったり来たりしながらやっと作図完了。
次は”検図”をします(図面の記載にミスがないか等の点検)

これも枚数が多いほど見逃しや誤字脱字、寸法の入れ忘れがあるので修正します。

これでやっと完成です。

実際には作図前のデザインアイディアの考案や、CG作成、提案資料作成など、
最終アイディアに至るまで今回の倍以上の労力がかかります。

業者様に図面を投げた場合も「ここ作りやすく変えていい?」という相談があることもあり、
そのやり取りの時間もかかります。

必ずしも詳細な図面が必要な訳ではない

見出しの通り必ずここまで描かなければいけない訳ではありません。

内装屋さんや、デザイナーさんの図面等は描かないことが多いです。
特にALL木工の什器は、外形図だけで作ってくれる業者さんもたくさんあります。
(もちろん最低限の外寸が入っていること前提ですが。。。)

というのも内装系は建築自体が絡むこともあり、地面や壁に埋め込んである什器も珍しくありません。
設備の数も膨大です。

加えて業者様毎に得意・不得意があり、
建築のような大きい空間では、寸法の歪みなど現場調整が必須です。
なので「外観がこれ通りになっていれば、中の構造がどうなっていようが構わない」の世界です。
現場で職人さんたちが得意な方法で製作していきます。

じゃあ何故図面を描くのか。
そこは”こだわり”や”設計料”が絡んできます。

当然ですが外形図だけで投げると、分からない部分は業者様の方で詳細な部品図を作っていきます。
当然”設計料”を追加されていきます。

詳細な図面があったほうが仕様が明確なので、相見積もりもしやすいです。
作る物も決まっているので、結果的に仕様に対する質問の電話が掛かってくることが少なくなるので、作業時間の短縮にもなります。
※オール木工造作の場合、業者毎に得意不得意があるので、図面で指示をしすぎると価格が高くなることもあります。そこは打ち合わせで明確にしておくべきポイントです。

また、何か手違いがあった時、業者様のせいには出来ない点も大きいです。
細かい使い方など、こだわりがある場合は部品図を詳細に描いたほうがそれ通りに製作してくれるのでミスはありません。
ですが業者様にまかせっきりで細部の仕様が違った時に、丸投げした本人にも責任がありますので一概に責められません。

細かい仕様がなく、料金交渉は程々に、とにかく制作量が半端ないのでスピード求む!
そんな時は外形図だけで製作できそうなものはお願いして良いと思います。

まとめ:これらの労力込みで料金設定されています

以上がご紹介になります。
長文になりましたが、ここまで読んで頂き有難うございました。

いかがでしたでしょうか。
デザイン提案はなんとなく想像できるけど、その後の製作系の仕事は自分で知ろうと思わないと触れる機会も中々ないですよね。
過程のご紹介でしたが、少しでも知って頂けたら幸いでございます。

後はお金の話になってしまいますが、世の中の認識とズレがあるなぁと思い当記事を書こうと思ったのもあります。

設計とCG込みで¥5,000程で!という見積依頼がよくあったりするのですが、
申し訳ないですがとても割にあわないのです。。。。

本人のスキル次第で早くもなりますし、
そこまでこだわってないよ!というご意見も十分承知しております。
気に入らない提案だったらお金を払いたくない!というのもごもっともです。

ですがこちらもプロ意識をもってお仕事をさせて頂いております。
それにどうせ仕事をするなら、より良いものをご提案しようと常日頃取り組んでおります。
割り切って値段相応の成果物にしてしまえばそれで良いのかもしれませんが、それでは私がする意味がないと思うのです。

色んなご職業があり、資本主義の世の中なので価格競争はごもっともです。
ですが最低限の価格は私達の生活にも必要ですし、我々もそれに見合うスキル習得と、
クリエイターの価格暴落を防止する働きがけはしていくべきなのでしょう。

最後に嘆き・愚痴みたいになってしまいましたが、
什器や家具のデザイナーを目指す方などのご参考にもなれば嬉しいです。

今後も他のスキル系の記事を書いていこうと思いますので、
その時はよろしければ読んでやってください。
有難うございました。

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